(写真や地図はクリックすると拡大します) 一覧へ 戻る 屋久島の頁へ 登山ルート地図
今日はいよいよ縄文杉トレッキングの日である。 早朝3時50分に起床。 窓の外は小雨が降っているが、予報では晴れ一時雨。 かつて小説で「月のうち35日は雨」と表現された降水量を誇る屋久島。 今回「大雨でない限り登ろう」と決めていたので、小雨だろうと何の躊躇もない。 それがこの旅の目的なのだから。
ここまで来て、“屋久島の顔”でもある縄文杉に会わずしては帰れない。
身支度をし、朝と昼のお弁当をザックに詰め、4時40分手配のタクシーに乗り込み出発。 (前日に、宿で登山届けを提出。 往復の登山バス券を購入し、お弁当2食分とタクシーの手配も済ませていた。)
自然館前、荒川登山バス乗り場
縄文杉コースの拠点となる、屋久杉自然館までは、車で約10分。 ここから荒川登山口までは一般車の乗り入れ規制があるので、登山バスを利用。 始発は4時40分だが、私たちは5時発のバスに乗る。 人気の縄文杉コースなので、さぞかし混雑するだろうと思いきや「えっ、バスに乗る人これだけ?土曜日なのに?」 車内は全く混合うことなく、40分ほどで登山口に到着した。 因みに料金は片道850円。協力金を含むので少々お高い。
トロッコ道を大株歩道入口へ
荒川登山口に着いても、小雨交じりの霧雨が降っていた。 レインウェアーを着用し、ヘッドランプを付け、薄暗い道を歩き始める。 序盤はひたすらトロッコ道。 枕木との歩幅が合わず歩きにくいところもあるが、暫く歩くと、線路の中に木道が敷かれた歩きやすい道に変わる。
周りはガイド付きのスローペースのハイカーが多いので、いくつものパーティーを追い越しながら進む。
本格的な登山道、大株歩道入り口まで8.1k、2時間半のコースタイムとなっている。 あまりにも長くて単調なので、ちょっと辟易するが、途中にトイレや水場があるので便利である。 歩いているうちに次第に天気も回復、青空も見えてきた。
大株歩道
長いトロッコ軌道の終点、大株歩道入り口で朝食を摂り、水を補給して「いざ縄文杉へ!」 ここからはトロッコ道とは一転して、急坂となる。 平坦な道を歩いてきた足には堪えるが、山道とは本来こんなもの。 まだ整備されてる分だけ歩き易いといえる。
ここから縄文杉へのルートは、名だたる屋久杉が登場するこの旅路のハイライトでもある。 登山道は、朽ち果てた翁杉を経てウィルソン株へと続く。
ウイルソン株
縄文杉トレッキングのブログに必ず登場するのが、この巨大な切り株、ウイルソン株である。 ここで皆、記念写真を撮る。 夫は洞内でハート型の写真を撮るのに、悪戦苦闘。 右往左往しながら、ハートに見える角度を探っている。
このウイルソン株前は、広場になっているので、ここで休憩をとる人も多いが、無念のリタイヤを決める場所でもあるようだ。 縄文杉まで行った同行者をガイドさんとともに待つ姿も見られた。 ハイカーの中には、「ちょっと歩くだけ」と騙されて連れてこられた、息絶え絶えの人もいた。 山を甘く見てはいけない。 この山に登るにはそれなりの準備と基礎体力が必要である。
400年前に伐採されたとされるこの古株は、推定樹齢3000年で、内部は畳10畳は敷ける空洞をなし、洞内には木魂神社が祀られている。
縄文杉へ
ウイルソン株から標高1200mの縄文杉までは約一時間。 タイトな木道を登っていくと、右手に枝ぶりの美しい大王杉が現れる。 縄文杉が発見されるまでは、この木が、島内最大の屋久杉だったようだ。 胸高周囲11.1m、推定樹齢3000年。
大王杉から少し歩くと、夫婦杉。 2本の屋久杉の枝が高さ10mのところで繋がっている。 あたかも夫婦仲よく手を取り合っているように見えることからこの名がついたようだ。
縄文杉
最後の木の階段を登りきると、威風堂々とした森の主が眼前に現れた。 他の追随を許さない、圧倒的な存在感と威圧感がある。 どっしりとした根を張った佇まいは、太古の息吹と強い生命力を感じる。
荒川登山口から4時間20分、やっと会えた縄文杉。 悠久の時を生きてきたこの雄大なオブジェを心ゆくまで観賞したいが、次々に登山者が登ってくるので、下山を開始した。
縄文杉の胸高周囲は、16.4mで現在確認されている中では最大である。 ただ、推定樹齢は、2000年~7200年と諸説あり、最近では樹齢3000年に満たない合体杉ではないかとの見方もされている。
下山
往路ではゆっくり見ることができなかった苔むす森や美しい渓流を眺めながら元来た道を下っていく。
屋久島は「もののけ姫」のモデル地だけあって、苔も豊富である。 600種類もあるそうだ。 「これだけコケの種類があると、植物学者も喜ぶやろねえ」というと、「コケにされるんちゃう」・・・「意味わかんない。 そのダジャレ今言わなくちゃいけない?」 夫との会話が弾まない理由がここにある^^
途中で昼食を摂り、延々と続くトロッコ道を辿り、漸く登山口に戻ってきた。 協力金一人500円を急いで払って、ギリ2時のバスに乗り込むことができた。
休憩と食事時間(朝・昼分)込みで所要時間8時間。 早い人は6時間と聞くが、それはちょっと厳しい。 多少なりともトレーニングを積んで挑んだので、満足のいくタイムで無事下山することができた。
|